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キャンプブームが一気に冷めた本当の理由 ──「流行が終わった」では説明できない構造

こんな方におすすめ

  • キャンプを始めたものの、なぜ続かなかったのか整理したい方
  • アウトドアを無理のない形で取り入れたいと考えている方
  • これからキャンプを始めるか迷っている方

数年前まで、キャンプは明確なブームとして社会に浸透していました。
週末のキャンプ場は予約が取りづらく、アウトドア用品店では関連商品が次々と売れていきました。
SNS上でもキャンプに関する投稿が日常的に目に入る状況が続いていました。

しかし現在、その熱量は明らかに落ち着いています。
キャンプという言葉自体は残っているものの、以前のような盛り上がりは見られません。
この変化について、「流行が終わったから」「一時的なブームだったから」と説明されることが多いのも事実です。

ただし、ブームを実際に支えていたのは、
一度試しただけの層ではなく、道具を揃え、何度もキャンプを経験した人たちでした。
その層が比較的短期間で距離を置いた点を考えると、
単なる流行の終焉だけでは説明がつかない部分があります。

本記事では、キャンプブームが冷え込んだ理由を、
好みや感情の問題としてではなく、
生活との関係性や構造の変化という視点から整理していきます。
キャンプそのものが否定されたのではなく、
「続けにくい形」に変化してしまった背景を明らかにすることが目的です。


キャンプが「日常的な遊び」ではなく「特別な行事」になった

キャンプが冷え込んだ理由の一つとして、
キャンプが日常生活から切り離された存在になった点が挙げられます。

本来のキャンプは、最低限の道具を用意し、
外で食事をし、外で眠るというシンプルな行為でした。
多少の不便さを受け入れることで成立するため、
頻度高く行うことも難しくありませんでした。

しかしブーム期に入ると、キャンプは「完成度の高い体験」を求められるようになりました。
道具は用途ごとに細分化され、設営やレイアウトにも一定の水準が期待されます。
その結果、準備・設営・撤収にかかる時間と労力が大きくなりました。

一泊二日のキャンプであっても、
前日の準備や帰宅後の片付けを含めると、
実質的には複数日の余裕が必要になります。
この構造は、仕事や家庭を持つ人ほど負担となり、
継続を難しくしました。


「誰でもできる」と言われながら、実際のハードルは高かった

キャンプブームの中で、「初心者でも簡単」「誰でも楽しめる」という表現が多く使われました。
しかし実際には、初心者が安心して始められる環境とは言い難い状況でした。

キャンプ用品は種類が非常に多く、選択基準も分かりにくいものが多く存在します。
初心者は何が必要で、何が不要なのか判断しづらく、
最初の段階で負担を感じやすくなっていました。

また、最初から一定水準以上を求められる雰囲気もありました。
失敗や不慣れな様子が可視化されやすく、
試行錯誤の過程を楽しみにくい環境だったと言えます。

その結果、キャンプそのものではなく、
キャンプを取り巻く情報量や空気感に疲れてしまい、
早い段階で離れていく人が増えました。


自然を楽しむ行為から「他人の視線」を意識する行為へ変化した

キャンプブームとSNSの普及は密接に関係しています。
しかしこの関係性は、キャンプの目的そのものを変化させました。

体験そのものよりも、
写真や動画として共有できるかどうかが重視される場面が増えました。
その結果、自然の中で過ごす時間が、
他人の視線を意識する時間へと置き換わっていきました。

人に見せる前提の趣味は、精神的な負荷が高くなります。
静かに過ごしたい人ほど、その環境に違和感を覚え、
キャンプから距離を置くようになりました。


費用と時間が、継続に見合わなくなった

キャンプは初期費用が比較的高い趣味です。
加えて、使用頻度は必ずしも多くありません。

さらに、移動・設営・撤収に時間がかかるため、
休日を「休む時間」として使いにくくなります。
結果として、費用や時間に対する納得感が薄れ、
優先度が下がっていきました。


キャンプは終わったのではなく、形が選ばれただけである

現在もキャンプを続けている人は存在します。
ただし、ブーム期とは異なる形を選択しています。

道具を減らし、頻度を抑え、目的を単純化する。
デイキャンプや車中泊、防災用途との併用など、
生活と無理なく結びつく形へ戻した人が残っています。

これは衰退ではなく、選別の結果と言えます。


まとめ

キャンプブームが一気に冷え込んだ理由は、
流行の終焉だけではありません。
キャンプが生活から離れ、
継続しにくい構造へ変化したことが大きな要因です。

キャンプそのものは、今後も残っていきます。
ただし、それは静かで、無理のない、
日常に近い形として続いていくでしょう。

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